ひとり

   あぁ、あたしは一人なんだ いつでも
   人に聞いて欲しいことも沢山あるのに
   今もそう、今も一人 あぁ、一人なんだ

ん?ここはどこだろう。
真っ暗。やっぱり一人だけなんだ
いつも一人、誰も近くにはいないんだ
   いつも一人よ、一人だったの
え?
   今まで一人 本当に一人だったのは、あたしだけだったのよ
え!?だれ?
   扉!
あなたは?
   あなたのおかげで扉を見つけたわ
どこ?どこにあるの?
   やっとだわ。やっとあたしが出られる
ねぇ、ちょっと!どこに行くの?
   どこって?外に出るのよ 扉があるじゃない
どこにも…あたしには見えないわ!
   そう あなたには見えないのかもね
   でもあたしが扉を開けるときに見・え・る・か・も
   その時からあなたは本当に、ひ・と・り!
それってどういうこと?あなた、誰?
   あたし?あたしはあたし あなたの『あ・た・し』よ
   これからのあなたは、あなたではない『あ・た・し』よ
   ずっと そう、ずっと長い間あたしはここに居たわ
   一人だけなのよ あなたの言ってた一人とは違ったものよ
   誰にも会えないし、あたしにも会えないわ
   もう行かなくちゃ そろそろ時間だわ
お願い!あたしも連れて行って!
   だめよ あなたが出たらあたしが出られないもの
   じゃぁね バイバイ
ねぇってば!待ってよ、どこよ!お願い置いていかないで
光?そっ、その扉閉めないで!お願い、閉めないで
閉め、ないで…

開けてよ ねぇ、開けてほんの少しでもいいから
お願い…

創作部屋〜ひとり〜2003.5.30

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